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 好きで好きで仕方なかった相手と結ばれ恋人として付き合い始めると、それまで知らなかった欠点や好ましくない面が徐々に見えてくる。自分の恋人にそんな欠点があることなど到底耐えられず、友達への愚痴が回り回って本人へ伝わったり、改善要求として直接本人へ伝えられたり、あるいはツイートのネタとして全く関係ない誰かが目にしてそれっきりだったりするが、おおよそ我慢できなくなるのは相手が改善要求を知った上でその欠点を直そうとしない時だ。その欠点を大した問題ではないと考えているのか、直すこと自体に関心がないのか、ただ頑固なのかは本人の素質に依るが、恋人が自分の提案を受け入れてくれないというのは、恋人から無視されているに等しい、と多くの人が考えている。

 どんなに伝えても相手は一向に直してくれない――改善要求している側の気持ちを想えば、惨めで悲しい感情に打ちひしがれていることだろう。ただ、こういう場合はもう一方の立場、つまり改善要求されている側の視点も考えてみるべきだ。筆者が相談を受けてきた中で、改善要求する側の実態には次のような例があった。

①本人は改善要求を伝えているつもりだが、相手に肝心な部分が伝わっていない
②そもそも改善要求を伝えていない
③改善要求は伝わっているが、それに対する相手の見解が明らかにされていない
④その改善要求が、本当に直すべきものかどうか検討されていない

 ①は言葉選びや相談する雰囲気の問題だ。何が問題になっていてどのように改善されれば納得できるのかが相手に伝わりきっていないため、言われた問題を改善しようにもどうすればいいのかよくわからない。言う側は伝えた気になっているから補足もしない。この「伝えた気になっている」というのが厄介で、意外と少なくない人が不満をただそのまま伝えるだけで相手に理解してもらえると思い込んでいる。例えば「前戯が短くて物足りない」という不満は一見わかりやすいように思えるが、改善する側の視点に立つと「今までどおりの内容で時間だけ延ばせばいいのか、だとしたらどの程度長くすればいいのか、前戯の種類ごとのバランスはどうすればいいか、実はそもそも前戯の種類が足りないという話なのか…」と考え過ぎて迷宮入りしたりする。不満には必ず原因があり、その原因は殆どの場合明確なのだが、その明確な原因は不満を感じている本人しかわからない。これを相手に伝えられないのは要求する側の落ち度と考えるべきだろう。(それを察しろというのはいよいよ酷な話だ)

 そして、この問題の究極が②に該当する。相談内容についてよくよく聞いてみたら実はその不満を相手に共有した事がなかったと判明する。そんなバカなと思われるかもしれないがこれも意外と少なくないケースで、その最たる理由が「この不満を相手に伝えたら嫌われてしまうかも知れず、とてもじゃないけど言えない」という感情によるものだった。この場合、①のケースとは違うストレスが発生するのが特徴的で、伝えたのに改善してくれないというケースでは相手への不満が溜まるだけだが、嫌われるのが怖くて伝えられないケースだと、伝えられない自分が悪いという自虐的なストレスが溜まっていく傾向が強い。内側に向いたストレスは怒りなどの形で発散できない分、限界まで自分を追い込んでしまうことも多い。相談内容に「もう疲れてしまいました」など諦めの言葉が含まれるのは大抵このケースである。

 ③は主に要求された側の落ち度だ。いつ直すか、どう直すか、問題点の確認やどうすればいいかといった相談などが足りていない。ただ、可能であれば改善要求する側から、要求と同時に相手と話し合うという形で寄り添って欲しいと願う。改善要求するその時点で、問題をより深く考えているのは間違いなく要求する側のあなたなのだ。具体的な改善案もあなたの方が明確に思い描けているはず。改善すべきはもちろん相手だが、それをあなたがサポートしても損はないだろう。

 ④は視野が狭くなっているケースだ。その不満が行き過ぎた理想に囚われたものである危険を回避するためには、やはり話し合いが重要となる。常識的な判断がどんなときでも可能な人間はまずおらず、それが恋愛感情という土台に乗れば一層不安定なものとなる。いわゆる「冷静に考えてみたら私が間違っていたかも」というやつで、恋人との検討でそこに気づけるのが理想ではあるが、好きな相手のイヤな部分について冷静に話し合うというのはやはり簡単ではないようである。

 このような感じで、恋人へ改善要求する際には陥りやすいパターンがあるようだ。せっかく得られた恋人という素晴らしい間柄を、こんな些細なコミュニケーション不足で台無しにするなど非常にもったいないことだと筆者は思う。相手のイヤな所も話し合って改善さえしていけるなら、お互いに理想的な恋人へ変化していくことも充分期待できるだろう。伝えたつもりにならず、問題点と改善策を明確にして、一緒に改善を目指す。これができるなら、好きな相手とのセックスどころか生活の全てにおいて満足して付き合っていけるかもしれない。皆様のより良いコミュニケーション改善を願いつつ、それでは今回はこれにて。


 2018_10_12


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